Axel Boman『Europa EP』

EP

 アクセル・ボーマンはスウェーデン、ストックホルム出身のDJ。北欧のダンスミュージックといえばダンサブルながらもどこかメロディアスで日本人に馴染みやすい部分が多い(気がします)が、スウェーデン人であり同郷のふたりと設立したレーベル[Studio Barnhus]からリリースされた今作も、フロアでに使用に耐えうるものでありながらiPhoneのイヤホンから聴いても心地良い、そんなシチュエーションを選ばない裾野の広いダンスミュージックに仕上がっております。

 そもそもアクセル・ボーマンが注目を集めたのはドイツの[Pampa]からリリースされた『Holy Love』のシングルがきっかけで[Pampa](とオーナーのDJ コーツェ)は近年のダンスミュージックにおける隙のない存在のひとつであり、そこでフックアップされた事実こそアクセル・ボーマンが間違いないということの何よりの表れなのであります。そんな[Pampa]でのリリース時から一貫して上質なハウスミュージックでありつつどこか捻くれたセンスを発揮していた彼ですが、その感覚は今作でも十二分に感じられとても面白いEPに仕上がっております。

[Clone]のサイトのキャプションではハウスへのユニークなアプローチをしているDJとして、おなじみのDJコーツェはもちろんのことフランスのペペ・ブラドックとも並列させられているのは妙に納得できますね。全体感として鮮明なサウンドに包み込むようなエレクトロ、そしてスタンダードな四つ打ちのキックを基調とした華麗なハウスミュージックに仕上がっていますが、ピッチを上げたヴォーカルのショットや同郷のレジェンドであるアバのサンプリングなど所々の垣間見えるセンスは不思議そのもの、単なる上質なディープハウス、ハウス、ディスコの枠に収まらない、アクセル・ボーマンの唯一無二性を感じさせてくれています。

 そんな今作で最も推したいのは4曲目の「The Best Ever Made Ever」 最もシンプルな四つ打ちのキックをベースにしながらハットの譜割りとそれに連なるベースシンセが独特の詰まったようなリズムを演出、ピッチベンドされたヴォーカルサンプルやシンセのウワモノを合図としながら段々と展開していく最高にプログレッシヴなディープハウスです。もちろん3曲目の「ABBA002」もそれに劣らない最高のトラック、トライバルなフレーバーをも感じさせるオープニングのビートから絶妙にアバの名曲へとフェードインしていく最凶の展開、ここまで間違いのないやり方もなかなかありません。2曲目の「What Do You Need?」は今作の唯一四つ打ちではないトラック、かなり跳ねたリズムが楽しく、そこにもある種の不思議な感覚を同居させています、そしてタイトルトラックの1曲目「Europe」は浮遊感のあるディープ・ハウスになっております。

 今作は上質なディープハウスながら、アクセル・ボーマンのシグネチャー的サウンドを存分に楽しめる4曲入りEP。ディープハウスは個人的に雰囲気的で感覚的な良さが先行していきがちなジャンルだと思ってしまうことがままあります(だからBGMとかには最適なのです)が、アクセル・ボーマンのトラックはそこに良い意味での「引っかかり」のようなものを備えた楽曲が多い、だからこそしっかり聴きたくなるしリピートしたくなります。これからも要チェック間違いなし。

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