ドイツはミュンヘンを拠点に活動する[Toy Tonics]からフレッシュなディスコ、ハウストラックをリリースするCOEO(以下、コエオ)は、同じくドイツ出身のフロリアンとアンドレアスによるユニット。[Razor n Tapes]などからも好リリースを連発する彼らは、元は学生時代の親しい友人でヒップホップやディスコに影響を受けたトラックを制作していた。
今回ご紹介する『Tonic Edits Vol.6』は[Toy Tonics]によるリエディット・シリーズの6作目で、”Japan Edition”と題される通り、彼らの愛する上質な4曲入りの和モノ・リエディット・ディスコミュージックに仕上がっている。
それぞれ「Japanese Woman」は兄弟フォークユニットのブレッド&バターによる同名曲、「Matchbox」は杏里などのプロデューサーとしても知られる角松敏生の「girl in the box 〜22時までの君は…」から、国分由理恵の「飛ばしてTaxi Man」は現代風に「Uber Man」というタイトルに、そして「Tibetan Dance」はEPOによる坂本龍一の「チベタン・ダンス」をリエディットしている。
それぞれ原曲の良さを損なうことなく、同時にベースラインなどの低域がマッシヴになり、ビートはよりフロア仕様にチューニングされている。白眉は言わずがもな「Japanese Woman」 原曲も和モノ・メロウの名曲として知られるがここにもコエオのリエディットの才覚がうかがえる。原曲とあまり変わらないようにも聴こえるが、フィルターの抜き差しやビートプログラミングなどよりダンサブルな仕様にディティールやアレンジメントがこだわり抜かれている。
こういった”海外から邦楽の逆輸入”という構図は、昨今(もうすでに食傷気味だが)のいわゆるシティポップの再発見と同じ流れに位置付けられるが、こうして”海外から”というワンクッションを通して自分たちの音楽を評価するというのは、なんというかいかにも日本人らしいというか少し捻くれているようにも思える。しかし”トイトニックは日本の音楽が大好き”というラベルの無邪気なメッセージは、”細かいことはいいから、いいモンはいい!”という気を起こさせてくれる。そもそもディスコはそういう気軽な音楽であるべきだと思う。ちなみに蛇足だが、B面のラベルには”あなたたちの音楽が大好きです、もし著作権をもっていたら連絡してください”と。アンライセンスってこと?(笑)