Disclosure – Here Comes The Sun Mix

 UKのデュオ、ディスクロージャーがまだファーストアルバムをリリースしたばかりの頃、2013年に発刊されたイギリスのダンス・ミュージック専門誌〈Mixmag〉で彼らは表紙を飾った。兄は20代になったばかり弟は年端のいかない18の青年であった。そこには彼らのヒット曲である”「White Noise」が〈BBC Radio1〉で何度もプレイされている”という懐かしさすら感じる話題から、”USのスクリレックスが「Latch」を何度もプレイしている”といった小話まで、当時における彼らの現象が新鮮にしるされている。

ディスクロージャーによるミックスCD『Here Comes The Sun Mix』はその号において同封されていたCDであり、彼らの音楽的な(主にハウス ・ミュージックにおける)バックグラウンドが端的にリプレゼントされたものに仕上がっている、非常に聴きごたえのあるミックスCDだ。

ディスクロージャーが自身の音楽的な影響やルーツ、そして日々のディグで響いた音楽を共有することが好き(重要と考えている?)というのは、彼らの〈Spotify〉で日々更新される『Disclosure’s Record Bag』を見れば明らかだが、こちらは相当な数がある。つまりうまくまとまっていないので、やはりこういったプレイヤーのルーツやバックグラウンドが地続きのストーリーとしてまとまっているミックスには相応の価値があるのだ。1時間で彼らがどういう音楽を好み志向しているのかがなんとなくわかる、BGM感覚で聴けるというおまけ付きで。

 ミックスのムードに通底しているのはやはり四つ打ちのハウス・ミュージックであること。シカゴハウスのベテランであり、ディスクロージャーともDJで共演するケリ・チャンドラーの名曲「Rain」や、彼らと同じくケリをこの上なく敬愛し90年代のハウスミュージックの美学を追求し続けるパリ出身、ジェレミー・アンダーグランドによる「Sexy Thing(Remix)」のような90年代のフィーリングを伴った正統的なハウス、そしてアクセル・ボーマンの「Purple Drunk」やウビーザによる「Laying Here」など風変わりでディープな側面も感じられ、また明らかにフェンダー・ローズのようなエレピへの執着心をも感じさせる。

そしてミックスのハイライトはもちろん【PMR Records】の紹介でリミックスを提供したジェシー・ウェアとのヒット曲「Running」の、スクリームとの〈Boiler Room〉で披露した––そしていまだにリリースされていないVIPヴァージョンのリミックスだ。この曲が12インチなんかで出たら絶対に欲しいんだけどな。クロージングトラックは【Method Records】からリリースするフレンド・ウィズインによる「The Work」、ディスクロージャーも何作かこちらのレーベルからリリースしており彼とも一曲だけだがのちに共作している。

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