Jamie XX『Night+Day Brixton 6 Hour DJ Set』

Mix

 ロンドンの〈O2 Academy Brixton〉にて敢行された〈Night+ Day〉は、ザ・XXのロミーによると”単なるギグ以上のもの”を目指したイベントだ。1週間にも及ぶラインナップからは、ジョイ・オービソンやベン・UFOをはじめとした一線級のDJをはじめ、フローティング・ポインツやサンファ、さらにはジャイルズ・ピーターソンといったレジェンドまで。UK(多くはロンドン)出身という共通点のもと数々のDJやミュージシャンを招聘したフェスティバルということがわかり、そこに〈Reprezent〉といったラジオ、そしてローカルのチャリティといったものと結びつき、ここロンドン、とりわけブリクストンをエンパワーメントするために企画された一大イベントであった。

そして今回ご紹介するミックスは、その〈Night+Day〉の6日目、6時間に及ぶジェイミー・XXのDJセットだ。トリオ・メディヴァルによる「Just(After Song Of Songs)」の瞑想的なスターターから、フランク・オーシャンの「Seigried」へと繋いだ瞑想的ともいえる幕開けは、これから6時間にも及ぶ長大な物語の予感を感じさせる静謐ながらも興奮を催す口火となっている。

その長い物語から繰り出されるのは、なにもハードなダンサーを踊らせるためのダンスミュージックだけではない。そこにはハウスであろうと、ポップスであろうとなんであろうと、ジェイミー・XX自身の審美眼を通して選りすぐられた楽曲たちがジャンルを問わず、スタイルを問わず、ひとつ筋の通ったミックスとして提示されている。

ダフニやジョイ・Oといった比較的近しいDJやプロデューサーたちのトラックは言わずがもな、ザ・XXでサンプリングしたダリルホール&ジョンオーツアイドリス・ムハンマドをスピンしていたり、さらには「Sweet Like Chocolate」や「Girls Like Us」といったUKガラージのクラシックが立ち並び、もちろん[Ice Cream Records]からも1曲だけ拝借している。この地続きのミックスによって彼のルーツが手に取るように理解することができる。

ケリ・チャンドラーを数曲かけているあたり彼がディープハウス・ラバーであることがうかがえるし「Nikes」を終盤にかけているあたり彼が——素晴らしいポップ・ミュージック、とりわけフランク・オーシャンにぞっこんなのがわかる。ちなみに『Blonde』において「Nikes」はオープニングトラックだがここでは終盤にスピンしている、そこがすごく良い。

 とりあえず6時間もの長い間も家で聴くにはいささか根気がいるとても歯ごたえのあるミックスだ。そもそもヘッドホンとかだと6時間もぶっ通しで聴くのは難しいところもあるし、まぁSoundCloudではパートごとに分かれているので小出しで聴くのもまたひとつの聴き方だろう。ただ長いという理由だけで避けるのはもったなすぎるくらいには良いミックスだ。マーティン・スコセッシ監督の『アイリッシュマン』がNetflixに登場したとき自分は長いという理由で観るのを避けていた、だけれど結局観たらこれがまた最高だった、だいたい長いっていう理由はこっちの怠慢なんだから、観るべきだし聴くべきなんだよな。避けた側だから偉そうなことは言えませんが。

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