DJ Qことショーレン・クワシはUKのハダースフィールド出身のDJ、プロデューサー。2019年あたりからどうやらUKガラージ(UKG)の”Resurgence”(=復活、再起)がささやかれているようで、確かに2020年はかの[KIWI Rekords]のコンダクタが提供した、UKGセットがその年のベストミックスに選出されるなど、なるほど確かに勢いを感じる節はあった。
しかしDJ Q自身がインタヴュー(というか近況報告)で語っているのは、決してそれは”復活”や”再起”、いわゆる”リヴァイヴァル”のようなものではないという主張。それはたしかに同意できる主張で、UKGは常にひとつのフォームとして存在し続けており現在進行形で様々なジャンルに対しインスピレーションを与えているというのは、もはや語り尽くされていることだろう。それはUKから生まれたアンダーグラウンドなダンスミュージックのみならず、世界中のポップスのフィールドにまで影響を及ぼしているのだ。(ポップスというタームでよく語られるのは無論ディスクロージャーだが、実はEDMにもあった…クレイグ・デイヴィッドだし(笑) ただこのふたつには大きな隔たりがある…と思いたい
かの〈Niche〉でプレイし〈BBC〉にも最年少で招聘された彼は、間違いのないUKアンダーグラウンドシーンの生き証人とも言える。ベースラインを出自とするDJではあるが、このミックスではUKGの持つムードのレンジを見事に表現している。彼のシグネチャーである目まぐるしいほどの矢継ぎ早なミキシングによって繰り出されるミックスは、ときおりR&Bのヴォーカルを据えつつコンダクタのみせたUKGの爽やかなサニーサイドと、EL-Bにおいて見いだせるUKGのダークサイドの両面を散りばめたバランスの良いミックスに仕上がっている。そうそう、ある企画でコラボレートしたトーフビーツによるリミックスも組み込まれているなど日本のリスナーにとっての特別な聴きどころもあったりする、これは嬉しいオマケだ。